interview

Interview インタビュー

逆転の発想で攻め続け、
多様性を認め合う仲間と共に、
日本を代表する旅行会社を目指す

社名 株式会社 旅工房
事業内容 総合旅行業
設立 1994年4月18日
資本金 4億2652万円(2017年5月17日)
従業員数 361名(2019年4月1日現在)
代表者 代表取締役会長兼社長 高山 泰仁
URL https://www.tabikobo.com/

今回は、女性活躍推進などの働き方改革にも積極的に取り組み、2017年に上場した、今注目の成長企業「旅工房」を訪問してきました。高山泰仁社長の創業時の苦労、会社経営および上場に至る真摯な思いをお伺いしてきました。

── 創業の経緯はどのようなものだったのでしょうか?

幼少の頃から母子家庭で育ち、その生活がかなり貧困なものであった私は、高校3年生の夏を迎える頃には、自身で会社を設立して生きていこうと決意していました。旅行会社の社長を目指すことにし、専門学校を経て、20歳からこの業界へ入りました。

入社先で4年が経った頃、親会社が変わることになり役員がやめたことをきっかけにして、スタートアップで入ったのが「旅工房」でした。しかし、スタートアップはうまくいきませんでした。

2年間赤字を積んだ末に会社をたたむことを決めた社長から、私は会社を買いとり、26歳で旅工房の社長となりました。当時を過ごした池袋のオフィスは、家賃が7万円だったことや、和式の共同トイレや、足音が聞こえる急な階段、冬のガスストーブなど、思い出深いものがあります。ちょうどインターネットが世に出てきた時で、初期投資として購入したものがパソコンでしたね。

── 社長就任後の経営は順調に進みましたか?

いいえ、初期の経営は順調とは言えませんでした。格安航空券のネット販売から始めたのですが、累積赤字を黒字に変えるために5年かかりました。

── 軌道に乗りはじめる転機はいつだったのでしょうか?

転機は2度あったと思います。

1度目の転機は、2001年に会社がようやく黒字になったタイミングで起こったアメリカの同時多発テロです。この事件により旅行業界全体が大打撃を受け、同業者の多くは事業の縮小やリストラを進めていきました。しかし、同業者のそのような動きとは逆行して、私はこの時期に、会社を大きな場所へと移転させ、事業の拡大に挑みました。

2度目の転機は、2003年のSARSです。同時多発テロと同様に業界が打撃を受ける中、私はあえて増資し、ツアー販売が可能になる観光庁長官のライセンスの獲得に踏み切りました。格安航空券の販売からツアー販売への移行は、世の中のインターネット売買の普及とともに、弊社が軌道に乗るきっかけとなりました。

── 競合他社も多い旅行業界における旅工房の成功要因は何だったのでしょうか?

2003年に、競合他社よりも先に格安航空券の販売からツアー販売に移行したことや、さらにそのツアー販売においても、2011年以降、安いものから付加価値の高いものへと切り替えていったことだと思います。ピンチとも言える転機を迎える度に、逆転の発想で攻め続け、チャンスをつかんできたことが私の成功要因かもしれません。

また、東日本大震災の際には、震災から3日後に義援金を表明したことや、高卒の採用も積極的に行うなど、社会的に正しいことをする会社であり続けることに私はこだわっています。そのような会社がつぶれる訳がない、という信念を持っていることも成功要因なのかもしれません。

── 2017年の上場を決めた理由は何だったのでしょうか?

私は、設立20周年を迎えた時期からバトンタッチを視野に入れて大学院に通い始めたのですが、そこでの皆さんとの出会いが自分の意識を変えたと思います。自分が居なくなっても、旅工房を100年・200年と続く、社会貢献が出来る会社にしたいという思いと、私自身の自己実現を考えた時、上場という決断に至りました。

さらに、美談を言えば、私の母がガン告知を受けて、亡くなったことも理由です。私は闘病中の母に、私が大学院へ行くことや、サンシャインシティへ引っ越すことを知らせたいと思いましたし、その後母が亡くなってからは、環境的に会社1本に集中出来るようになったことも大きかったと思います。 

── 人材育成への思いはどのようなものでしょうか?

2002年から毎年新卒の採用を行ってきましたが、1期からの採用が今も会社に残ってくれています。現在360人ほどいる社員の中で、社内恋愛や結婚があり、生まれてきた子供たちが、自分たちも将来、旅工房で働きたいと思えるような会社にしたいと思っています。

採用後の定着率の高さは、弊社に常に新しいことをしていく刺激があることや、私との信頼関係がしっかりあることが理由だと思います。私は14期生までの最終面接を自身で行ってきましたし、全社員と年2回は食事に行って会話をするようにしています。

また、教育セクションを設けて社員のスキルアップを行っている他、学歴や国籍などにとらわれず、多様性を受け入れる風土が育っていることも弊社の特徴だと思います。

── これからの旅工房の課題をどうお考えでしょうか?

社内の離職率はもっともっと減らしたいですし、仕事を通じた社員1人1人の成長を見守ることが出来る環境を整えていきたいです。観光については、お客様を喜ばすことは然ることながら、外貨が使われることによる現地での雇用促進への貢献や、国際交流が進むことによる戦争の抑止力向上へも貢献したいと考えています。また、私個人としては、10年くらい前からの夢であった財団の立ち上げによる貧困解決や、観光開発、現地雇用といったことも進めていく予定です。

── 最後に、今後の旅工房が目指すところを教えて下さい。

日本を代表する旅行会社になりたいです。私が世界一だと思っている日本のホスピタリティー文化を世界に輸出したいですね。そのための一歩として、インドネシアとベトナムに子会社も設立しました。旅工房は、オンライン予約とトラベル・コンシェルジュのハイブリット戦略で、世界制覇を目指します。

文責 稲葉直彦